東工大対策について

①東京工業大学入試制度について

東京工業大学(以下東工大)では入試制度として「センター試験の点数を、本試験が受けられるかどうかの参考点(基準点に満たない受験者が、本試験に出願不可能となる”足切り”と呼ばれるもの)にのみ用いて、合否に関わる点数としては二次試験のみが考慮される」という特別な入試制度を持っています。つまりセンター試験でどんなに低い点数を取っても基準点さえ満たしていれば、東工大に合格することは可能だということです。

基準点はセンター試験600点(950点満点中)程度であり、このレベルの国立としては非常に低い基準だと言っても良いでしょう。つまり東工大の対策をしっかりして、ある程度国語や社会の対策をすれば怯える必要は全くないということです。

もう一つの特徴は、第二志望まで科類を出願できる、つまり滑り止めとしての科類を受けることができるということです。東工大に合格するためにしっかりと実力をつけることができれば少しくらいのミスは許されるということです。

②東工大二次試験について

東工大の二次試験対策をする上で押さえておかなければならないことは、その難易度の高さです。全科類共通で英語・数学・物理・化学の4教科が二次試験の科目となります。一般的に言われている他大学との相対的な各教科の難易度としては、年によってばらつきがありますが

英語(150)<物理(150)≦化学(150)≦数学(300)

このような序列になります。かっこの中の数字は配点です。そう、東工大の合格のためにまず着目すべき点は数学の重みです。これらのことに着目して各教科の対策を見ていきましょう。

1.数学

東工大の数学は計算量が非常に多く、正確な計算力が求められます。ただ発想力がないと解けないという問題はそれほどなく、典型的な問題の解き方や考え方、またそれらを正確に処理できるかが重要です。特に積分は多くのハイレベル参考書で取り入れられるほど良問で演習性の高いものが多いです。

「一対一対応の数学」や「青チャート」などを用いて一通りの典型問題に触れ、それらをしっかりと押さえたのちに、それらを組み合わせた重めの問題集(やさしい理系数学→ハイレベル理系数学、新数学スタンダード演習ⅠAⅡB、Ⅲなど)を2冊程度終わらせることができればある程度の二次力はついているので、過去問演習に移ってもいいでしょう。過去問自体も良問揃いなので実力はかなり伸びると思います。東工大合格のためには数学でしくじらないことが大切です。万全の対策をして臨みましょう。

2.英語

東工大の英語は、東大や京大・早慶上智などと比べてシンプルな問題が多いです。ただ近年試験全体の語数も増加傾向にあり、難化傾向にあるために油断はできません。基本的な語彙を習得して、長文をしっかり読める力をつけることができればここが得点源になるはずです。単語帳を持っているならばあえて新しいものを買う必要は無く、それをしっかりとやりましょう。もう少し上級単語を覚えたいという人は「速読英単語の上級編」などを用いても良いです。長文対策としては王道ですが「やっておきたい英語長文700、1000」などをお勧めします。本番は語数の多い長文を相手にするので演習でも語数の多い長文がいいです。これらがある程度終わったなら過去問を時間を計ってやってみましょう。

3.物理

東工大の物理は、やや難しい内容を、誘導をつけて扱う良問が多いため基本事項をしっかりと抑えることが必要です。試験時間はそれほど厳しくないためにかえって差がつきやすい教科ともいえるでしょう。教科書の内容をしっかりと押さえた上で覚えたのちに、「名門の森」や「重要問題集」で演習を積むと良いでしょう。どちらも非常に良質で有名な問題集であり、多くのライバルの受験生も手を出しているはずなので内容で積み残しなどがないようにする必要があります。化学と比べると点数が積みやすい科目なので、得意教科ではなくとも苦手教科にしてはいけないというつもりで取り組んでください。

4.化学

東工大の化学は、特徴の強い科目となっています。まず回答に記述する内容が他の国立理系大学と異なり答えだけとなります。つまり答えまでのプロセスを記入しないため、計算ミスしたらパーです。また難易度の浮き沈みが激しく、年によって本当に同じ大学かと疑うくらい易化する時もありました。したがって対策としては、確実な計算量をつけた上で、難しい内容が出てもある程度は対応できるようにならなければいけないということです。教科書の内容を一通り押さえた上でまずお勧めする参考書が「重要問題集」です。問題・解説ともに出来が良く、さらに理解を深めてくれる内容となっています。中途半端な参考書に手を出すよりはこの問題集を何周もやる方が絶対良いでしょう。その後にさらにレベルを引き上げる参考書として「化学の新演習」があります。こちらは理論化学の重たい計算や、非常に複雑な有機の問題などかなりハイレベルなので本番までに余裕があったらやる、といった認識でも良いかもしれません。化学は良質な参考書が多いため実際に見てみて自分に合うと思うものを探すのもいいかもしれません。

以上が東工大に合格するための対策です。晴れてみなさんが合格することを祈っています。